桝田くんは痛みを知らない
 A組も今頃は、うちのクラス同様、学園祭の話して盛り上がっているかなと考えていたら――


「お前。いい加減にしろよ」


 桝田くんが。


「前から気に食わねーんだよ。その態度」


 ……男子と、喧嘩してる。

 というよりは。


 桝田くんはイヤホンをして相手の顔も見ていないのに、茶髪の男子が桝田くんの顔を睨みつけている。


 その周りで、


「ちょっと。やめなよ」

「……そうそう。別に桝田くんなにも悪いことしてないじゃん」


 女の子たちが、困っている。


「どこがだよ。ピアス、ジャラジャラつけてきて。授業はサボりがち。それでも先生はお前には甘い。そういうの。親の力なんだろ?」


 大きな声を出す男子。

 それでも桝田くんは、まったく気にしていない様子だ。


「お前見てるとなぁ。真面目にやってんのバカバカしくなってくるわ」
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