桝田くんは痛みを知らない
 その直後、

 桝田くんが、床に、押し倒されて。


 男子が手を振り上げて――


「っ、……やめて!!」


 桝田くんが殴られると思ったら

 飛び出さずにはいられなくて。


 だけど、

 わたし一人が怒った男子を止められるわけ、なくて。


「誰だよお前。関係ないやつは引っ込んでろ」


 ドン、と突き飛ばされ

 机に頭をぶつけた。


「古都ぉ……!!」


 えみるが、わたしに駆け寄ってくる。


「今のは、かわいそう」

「痛そうだったよね」

「最低」


 周りから、わたしを心配する声が聞こえてくる。


「古都。大丈夫?」


 打ったところが、ズキズキと痛む。


 けれど意識はハッキリしているし、立ち上がることもできそうだ。


「大丈夫、だよ」
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