桝田くんは痛みを知らない
「範囲狭いし、中学の復習みたいなものだから。それに苦戦してるようなら今後のテストは乗り切れないよ」

「おーっと。甘いマスクでいて意外と手厳しい宗田先輩の隠れドSな一面が垣間見えましたね?」


 か、かくれドエス……!?


 そんなことないよ。

 マサオミくんは、いつも、優しい。


 そして、マサオミくんの言うとおりだ。

 今躓いていたらこの先が大変だ。


 うん。

 ここは他人に甘えず自分の力で頑張らなきゃ……!


「テストが終われば学園祭の準備始めるんだ」

「そう思うと、やる気出るってもんですね〜!」

「そういえば古都ちゃん、去年遊びに来てくれてたよね」


 向かいに座るマサオミくんの視線が、えみるからわたしに向けられる。


「はいっ」


 行きました行きました。

 マサオミくんのクラスが売っていたドーナツを買いました。


 実は、一昨年も、コッソリ来ました。

 バザーを取り仕切ってるマサオミくんのこと、遠巻きに見つめていました。


「今年はうちの生徒として、楽しんで参加してね」
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