桝田くんは痛みを知らない
 楽しみます楽しみます。

 楽しめる気しか、しないです……!


「そうそう、聞いてくださいよ先輩。気になる男子にラブレターを書いたんですけど」

「へえ」


 いきなり話題を恋バナに変えてしまった。

 さすが、えみる。


「読んでもらうどころか、受け取ってさえもらえなかったんですよね〜」

「そうなんだ?」

「先輩は、手紙とかもらったらどう思います?」

「そうだな。やっぱり、嬉しいんじゃないかな」


 …………!!


「メールでなく手紙って、古風な感じが嫌いじゃないな。手書きだとぬくもりも感じるし」

「ですよね!」


 え、それじゃあ書こうかな。わたしも。

 マサオミくんに、手紙。


 でもお隣さんなのに、書いてる間に話しにいけるだろって感じだな!?


「受け取らないってことは。脈ナシですよね〜。仕方ないから、次いきます」


 切り替えはやいな。

 まあ、その方がわたしも安心だけど。


 あんな彼氏がえみるにできたら心配だよ。


「受け取らない理由あったのかもね」

「受け取らない理由……ですか?」

「そうだな。たとえば、期待させたくないとか。恋人がそういうの嫌がるから気を使った可能性もあるし。恋愛するのが――怖い、とかね」


 桝田くんが、そんな繊細な男だろうか?
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