桝田くんは痛みを知らない
#07 ゲンカイ
「ここ、穴場」
保健室を出て桝田くんとやってきたのは、教室ではなかった。
3階から4階に続く、非常階段。
そこは普段誰も近づかない場所。
あのまま保健室にいれば、先生が戻ってくるし。
誰が来るかわかったもんじゃないから。
――2人に、なりたかった。
「静かだし。風通りもよくて、いいね」
平静を装って声を発するも――
『好きなんだ。古都が』
さっき言われた言葉が、頭から、離れなくて。
衣替えをして、身軽になったのに。
カラッと晴れた爽やかな昼時なのに。
わたし達の間を流れるクウキは、どこか重みを含んでいて。
なのに隙間だらけにも思えて。
それでも――
「座れば」
お互いが、お互いを埋めるように。
慎重に言葉をかわしていく。
「うん」
保健室を出て桝田くんとやってきたのは、教室ではなかった。
3階から4階に続く、非常階段。
そこは普段誰も近づかない場所。
あのまま保健室にいれば、先生が戻ってくるし。
誰が来るかわかったもんじゃないから。
――2人に、なりたかった。
「静かだし。風通りもよくて、いいね」
平静を装って声を発するも――
『好きなんだ。古都が』
さっき言われた言葉が、頭から、離れなくて。
衣替えをして、身軽になったのに。
カラッと晴れた爽やかな昼時なのに。
わたし達の間を流れるクウキは、どこか重みを含んでいて。
なのに隙間だらけにも思えて。
それでも――
「座れば」
お互いが、お互いを埋めるように。
慎重に言葉をかわしていく。
「うん」