芦名くんの隠しごと
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「──では、近くの人と二人組になって、和歌の読み合いをしましょう」
1時間目の古典の時間。
優しい笑顔で悪魔のようなことを告げた、穏やかな女の先生。
“二人組”
ぼっちにとっては最悪のイベント。
しかも、今回の席替えでは、周りに同じぼっち組の人はいなかった。
周りの女の子たちは、みんなペアを組んでいる。
………最悪だ。というか、どうしよう。
こんな私とペアを組んでくれる人なんていなくて。
頼みの綱の芦名くんは、近くの席じゃない上に、もう他の人と組んだみたいだ。
「──水上、」
焦っていたところに、声をかけられて。
振り向くとそこには、クラスメイトである花瀬伊織くんがいた。
涼しげな目元が特徴的な、塩顔イケメン。
芦名くんほどではないけど、女の子に密かに人気があるけど、彼は女嫌いという噂がある。