芦名くんの隠しごと



なんで、そんな人が。


「……おい水上野乃。呼ばれたら返事しろ。聞こえてんだろ」


「あっ、はい………ごめんなさい」


嫌悪感と威圧感を隠そうともしない彼が、少しだけ怖かった。


……前なら涙が出てたかもしれないけど、今は怖い人に慣れたのか、前よりマシになった気がする。


「……うざ。他に組む奴いねーだろ。俺と組んで」


「え……なんで、」


“うざ”なんて、どこをうざがられたのかわからないし、なんで嫌そうな顔してるくせに、わざわざ私に声かけたんだろう。


「……俺ら以外、もー組んでるけど、ペア」


「え……うそ」


「俺がわざわざそんな冗談言うわけねえだろ。めんどくせえ」


< 103 / 279 >

この作品をシェア

pagetop