芦名くんの隠しごと
でも、言われてみれば、藍ちゃんと一緒に勉強したとき、ものすごくわかりやすく教えてくれた。
なるほど、南高校。納得。それにたしか、私服校だったよね。
「課題忘れたんだと。それで補習なんて、運悪いよな。アイツだって馬鹿じゃないのに」
“ま、少しアイツらしい気もするけどな”なんて、藍ちゃんが聞いたら文句を言いそうなことを軽く付け足して、夏樹くんは笑っていた。
「藍ちゃん、早く来ないかなあ」
「なにかあったのか?」
「さっきまで、孝也さんとシャーベット作ってたの。藍ちゃんにも食べてもらいたくて。あ、夏樹くんも食べる?」
「………康生は食べたのか?」
「ううん、あげられなかった。芦名くん、すぐに出かけちゃったから」
本当は芦名くんにも食べてもらいたかったけど、なんだか忙しいみたいだ。
もっと彼と一緒にいたいけど、彼女でもない私がワガママを言って、彼を困らせたらいけない。