芦名くんの隠しごと
あくまでも、私は友達。
───“何も知らないお前が、……いや、知ってたらカンタンに口に出さないと思うけど。とにかくそのことには、触れるな”
この前花瀬くんに言われた言葉が、今でも頭に残っていた。
冷たいそのセリフと真剣な眼差しを思い出すたびに、頭痛がしてしまいそうだった。
「………水上?どうかしたのか?」
「んーん、なんでも………ない」
あのとき、口止めされてしまった。
しかも──芦名くんに。
『今日のことは、誰にも内緒だよ』
花瀬くんとは、あれ以来話していない。
といっても、私が一方的に避けていたら、向こうも話しかけてこなくなったのだけど。
「……だったらもー少し上手く笑えよ。俺、嘘をつく水上は嫌いだ」
「………っ、」