芦名くんの隠しごと



「………花瀬くんが質問に答えてくれたら、教えます」


「……フーン。じゃ、いーわ」


「え、え………!?」


そ、そんなにアッサリ引き下がられては困る。


なんとしてでも、花瀬くんの口から答えを聞かなくては。


「ま、待って!」


すでに帰ろうとしていた花瀬くんを、慌てて引き留める。


彼はゆっくり振り向いて、ため息をつく。


「………まだなにか用?」


「そ、その………し、信用できないなら、縛ってもいいので!」


「は?」


「答えだけ聞いて聞き逃げなんて、絶対しないです!だから、あの、本当に教えてください………!」


必死だった。


(はた)から見たら、きっととんでもなく不恰好なのだろう。けれど、そんなの気にしてる暇なんてなかった。


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