芦名くんの隠しごと
ハッとなって声の主を見ようと顔を上げた。
ニコニコと穏やかそうに笑っているけど、憎悪にまみれたようなオーラを醸し出す、若い男。
「気分はいかがですか」
あくまでも優しいその声に、ゾクリと背筋が凍る。
「………っ、」
「怯えて声も出ないんですか。可愛いですね。芦名を始末したら、私の女にしましょうか」
聞き捨てならない言葉が聞こえた。
“芦名を始末”───?
「あ、芦名くんに何するつもりですか………!?」
「おや、威勢がいい。余程大切に想われてるのでしょうか。芦名康生は」
「……っ、あなたは、誰───?」
彼の目的はたぶん、───芦名くん。