芦名くんの隠しごと



「物騒なこと言いますね、白楼の副総長さんは。それが冗談やハッタリじゃないから、余計に怖い」


クククッと、まったく怖がっていなさそうなサトルさんの態度が、余計に楓さんのイライラを上昇させたみたいだ。


「バカにするのもいい加減にしろよ。まずは、野乃ちゃんを返せ」


「そこにいますよ」


サトルさんが、クイッと、私と花瀬くんを顎で指した。


釣られてこっちに視線を向けた楓さんの目つきが、とたんに変わった。


「……伊織……………」


地を這うような低い声。


珍しく表情にも出ていることから、本気で怒っていることがわかる。


対照的に、花瀬くんは無表情で、なにを考えているのかわからない。


< 158 / 279 >

この作品をシェア

pagetop