芦名くんの隠しごと



ホッとしたように一息ついた楓さん。


よかった。もう、ちゃんと落ち着いたみたいだ。


「しかしまあ………伊織がいるなんてね」


「あの………花瀬くんが何かあったんですか」


「………今度話すよ。今日はもう疲れたでしょ。送るよ」


「そんな、疲れてなんか………!」


グゥー


「………」


さっき飴なめたのに、お腹の音が盛大に鳴ってしまった。


なんでこんなタイミングで。恥ずかしすぎるし締まらない。


「野乃ちゃんのお腹は素直みたいだけど?」


「………孝也さんのオムライス食べたいです」


「了解。連絡しとくね。立てる?」


「立てます……」


やっぱり花瀬くんのことについては、教えてもらえるのは無理なのだろうか。


誰に聞いても、はぐらかされてしまう気がする。


「じゃ、いつものとこ行こっか。……“白楼”のことも、ちゃんと話したいしね」


< 161 / 279 >

この作品をシェア

pagetop