芦名くんの隠しごと
ホッとしたように一息ついた楓さん。
よかった。もう、ちゃんと落ち着いたみたいだ。
「しかしまあ………伊織がいるなんてね」
「あの………花瀬くんが何かあったんですか」
「………今度話すよ。今日はもう疲れたでしょ。送るよ」
「そんな、疲れてなんか………!」
グゥー
「………」
さっき飴なめたのに、お腹の音が盛大に鳴ってしまった。
なんでこんなタイミングで。恥ずかしすぎるし締まらない。
「野乃ちゃんのお腹は素直みたいだけど?」
「………孝也さんのオムライス食べたいです」
「了解。連絡しとくね。立てる?」
「立てます……」
やっぱり花瀬くんのことについては、教えてもらえるのは無理なのだろうか。
誰に聞いても、はぐらかされてしまう気がする。
「じゃ、いつものとこ行こっか。……“白楼”のことも、ちゃんと話したいしね」