芦名くんの隠しごと



そのキスは、止まることを知らないように、どんどん激しさを増していく。


息をする暇も与えてくれない。


そしてそのまま、抱きしめられて。押し返すなんてことすら、できなくなる。


「……ん、っは、あ……しな、く……んっ、くる……し……」


「息は鼻でするんだよ、野乃」


肩で小さく息をしながら、早口で芦名くんが囁く。


脳みその処理が追いつかないうちに、再度、キスの雨が降る。



息の苦しさも

見えない彼の気持ちからの切なさも

すべて忘れて


ただ、キスに溺れているうちに

私は意識を手放した────。


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