芦名くんの隠しごと
*
次に視界に広がったのは、空の模様。
空ではなかった。空模様の壁紙。
「……あ、起きた?野乃ちゃん」
「………孝也さん、」
「お茶飲む?今淹れてきたんだけど」
「………いただきます」
他に人はいないようだった。わたしと孝也さんの二人だけ。
芦名くんの姿が見当たらなくて、少し落胆した。
「……あの、ここは?」
見知らぬ部屋。
たしか最後の記憶は───と、思い出してまた、一人で恥ずかしくなる。
「ここは康生が住んでる部屋。いつものとこの二階だよ」