芦名くんの隠しごと
夜
*
バイクの音が聞こえた。
……この音知ってる。芦名くんのバイクの音。
ピンポーン
少しして、バイクの音が止んだかと思えば、家のチャイムが鳴った。
「野乃、俺」
夜中だからだろうか、少しひそめられた芦名くんの声。
パジャマだから、こんな格好で芦名くんの前に出るなんてこと、したくない。
けれど、大事な用事かもしれない。すぐに出ないと困るかもしれない。
そう思い、恥じらいは捨てて、パジャマのままだったけど、玄関のドアを開けた。