芦名くんの隠しごと
カタリ、と物音がした。
それと同時に、穏やかだけど恐ろしい声も。
わざとらしい“くん”付け。
一瞬でわかった。
「───煉華の本部に乗り込んできたからには、死ぬ覚悟はできているということでいいですか」
月森が、愉しそうに笑う。
「……別におれは、死にに来たわけでもないし、死なないけど。ぜんぶ終わらせに来ただけ」
「随分と自信満々なんですね。ああ、弟のように、私のことも殺すつもりですか」