芦名くんの隠しごと



*



『 圧 倒 的 』

あえて言葉を使って表すなら、そんな感じ。



あのあと、すぐに煉華と白楼の戦いに発展した。

といっても、最初は、芦名くんが一人で私を守りながら十人くらいを相手にしていて。

少しして駆けつけてきた夏樹くんや楓さん、藍ちゃんが加勢して、一気に形勢逆転。


たった数人で、

しかも、私ひとりを守りながら戦うみんなの姿は、なんだかとても綺麗だった。



「……逃げるなよ、月森」


「もう逃げる気なんてありませんよ。さっさと弟と同じ場所に逝かせてください」



倒れたままの体格のいい男の人の中に、ひとり。
自嘲気味に月森が口角を上げた。



「……いつまでも勝手に誤解してんじゃねえよ」



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