芦名くんの隠しごと
大切な人
*
「だぁーっ!誰だよスペードの6止めてる奴!」
「夏樹、それ言っちゃダメなやつなんじゃないの?」
頭を抱える夏樹くんとは対照的に、楓さんが苦笑混じりに言う。
「……仕方ないですね。私が切り札を使いましょう」
「悟お前、ジョーカー持ってたのか……」
「本当はもう少し後に使おうと思ったんですがね。まあ私も、スペードを止められるのは困るので」
あれから、月森改め悟さんとも、徐々に溝をなくしていこうという芦名くんの計らいで、こうして悟さんも集まるようになった。
最初は罪悪感からか遠慮ぎみだった悟さんも、一週間も経たないうちに、すっかり溶けこんでいる。
「……ジョーカー出されちゃったかー」
「止めてたの藍かよ……。いじめんなよ、俺を」
「だってそういうゲームだし。アホじゃん夏樹」