芦名くんの隠しごと
わたしたちの間に、少しだけ沈黙が流れた。
緊張が走る。
目の前の芦名くんが、口を開く。
「───ほんとだよ、って言ったら、野乃はおれのこと、嫌う?」
……息ができなくなったような錯覚をした。
少しだけ気まずくなる。
即座に否定できなかった自分が情けなくなった。
「……そんなこと、ないよ」
振り絞った声は、やけに弱々しかった。
藍ちゃんたちは七並べに夢中なまま。フォローしてくれる人はいない。
「ねえ、野乃。おれね、親いないんだよね」