芦名くんの隠しごと
もちろん、裏社会に通じてる夏樹の父さんは、“ほっとけ”って言ったんだけど。
母さんが土下座までしたのと、調べてきた身の上に同情したんだろうね。柊医院で治療してくれて。
そのとき、おれも彼にに会ったんだ。
母さんの忘れ物を届けに行ったら、彼いて。
『……僕にも、これくらいの娘がいるんですよ』
そう言って、すごく寂しそうに笑って。それから悲しそうに顔を歪めたんだ。
『……ねえ、きみは何歳?』
『……6さい』
『誕生日が来て、6歳なんです。来年には7歳で……早いですね、子供の成長は』
『……今年6歳ですか。娘と同じ学年です。女の子なんですけど。絶対美少女になってるから』