芦名くんの隠しごと
愛情
*
───あれから、わたしと芦名くんは晴れて正式にお付き合いをすることになった。
まさか、わたしに“恋人”ができる日が来るなんて。
それにあの相手が、芦名くんみたいな完璧な人気者なんて。
あのときの忘れ物がなかったら、こんな未来は来なかったのかな……なんて思うと、あのとき録画し忘れた番組なんてどうでもいい。
「野乃~!おはよう今日も天使だね……!」
「ひゃっ!?あ、あああ芦名くん!?ここ学校……!教室……!」
周りにいたクラスメイトが、一斉にこちらに視線を向け、目を丸くしている。
そりゃそうだ。
今までなんの接点もなかったわたしたちが、普通に話しているのだから。しかも、人気者とぼっち人間。
……ついでに言えばわたしも驚いている。たぶん、クラスメイトたちよりも。
学校では話さないんじゃなかったっけ……!?