芦名くんの隠しごと



とにかく話題を変えよう。変えなければ。



「あ、あの、芦名くん!わたし、芦名くんの部屋にお邪魔したいなー……なんて」



その言葉にピクッと反応した芦名くんが、なぜか目を見開いている。

な、なにか変なこと言っちゃったかな……わたし。



「襲っていいってこと?」


「!?……キ、キスくらいなら……」


「足りない。おれだって健全な男子高校生だよ」



え、でも……足りない……とは。なんのことやらわからない。

キスより上……ってことなのだろうか。でもまったく想像できない。芦名くんはなにをしたいと思っているのだろうか。



「どこが健全なんだよ思考が不健全だろうが康生。野乃ちゃんでどんな想像してんだよ」



話をバッチリ聞いていたらしい孝也さんが、やや早口で言う。

ただ、わたしには意味がわからない。



「想像くらいいいだろ孝也さん……」


「人様の娘さんでなんて想像してんだよ。お前、野乃ちゃんのお母さんに挨拶しに行ったのか?」


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