芦名くんの隠しごと
「え……?せ、生徒会長……?」
「…わーお。ウチの生徒かー」
そこにいたのは、紛れもなくウチの学校の生徒会長だった。
若槻楓先輩。ウチの学校の3年生で生徒会長をやっている、穏やかそうなイケメンさん。
…そんな生徒会長が、なんでここにいるの……?
それに、芦名くんはさっき「気をつけて」って言ってた。
──生徒会長は、危ない人。
芦名くんに関してもそうだけど、こんな人がキケンさを持ちあわせているなんて、誰が想像しただろうか。
「ねえ、どうやって康生に取り入ったの?」
「取り入った、って…」
「はじめてだよ?康生がオンナノコ連れてくるなんて」
口調も声色も普通なはずなのに、責められているみたいな言い方。
…怖い。
その瞳の奥は、笑ってないから。
孝也さんも怖かったけど、それとは次元が違う。
孝也さんから感じたのは警戒心だったけど、
この人は──
「野乃チャン、キミはどこの回し者かな」
もうすでに、私に敵意を向けていた。