芦名くんの隠しごと



「野乃ちゃんも知っての通り、学校では“優しい生徒会長”って設定だから。このことはナイショにしといてね」


「は…はい…」


ナイショも何も、そんなこと言いふらす友達なんていないけど。


…いたとしても、彼に逆らう気なんて起きるわけないんだけど。


「僕のことは楓でいいから」


「……楓さん」


生徒会長だからというのと、年上だというのと、…トラウマレベルに恐いことで、自然に“さん”付けになる。


「それに。僕は生徒会長である前に、康生の右腕だから。キミも敬語なんか使わなくていーよ」


「…なんで私まで」


「康生の女なんでしょ?」


……オンナ!?


「ちちち違います…!」


「説得力ないなー」


「彼女…ってことですよね?付き合ってないです」


すると楓さんは驚いたように目を見開き、何か考え込むような素振りを見せた。


「……ま、野乃ちゃんもニガテか。そーゆーの」


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