芦名くんの隠しごと
妖しげなその笑みに、なぜか目を逸らせないでいると、急に視界が真っ暗になって。
「野乃、孝也さんのこと見すぎだよ」
耳元にかかる、芦名くんの吐息と声が、嫌でも心拍数を上げてくる。
目元の熱もなかなか離れてくれないまま、“わかった?”と言い聞かせるように聞かれ、私は頷くことしかできない。
そんな私の反応に満足したのか、芦名くんがパッと手を離してくれて、私の視界は解放された。
「ん。じゃあ、大人しくオムライス食べよう?」
「う、うん……!」
冷めかけたオムライスを、口に運んだ。
……やっぱりおいしい。人に作ってもらったごはん食べるの、久しぶりだからかな。
「野乃ちゃんが本当においしそうに食べてくれるから、作りがいがあるよ」
「だってほんとに、おいしくて……!私も教わりたいくらいです!」
イメージだけど、男の人はあまり料理しないのだと思ってた。
それがこんなにおいしい料理を作れる人もいるんだって、ちょっとびっくり。