芦名くんの隠しごと
「芦名くん、これって……」
「開いて」
指示通りに紙を開くと、そこには11桁の数字が、5つ並んでいて。
「上から順番に。俺、夏樹、楓、孝也さん、藍」
「ラン……?」
「今日、野乃を送ってく奴。同級生。女子」
いきなり情報が多すぎて、頭がうまくついていかない。
「それ、大変だと思うけど、番号ぜんぶ入れておいて。もしもの連絡用に」
「わ、わかった……」
「それと、」
真剣な目をした芦名くんと、目が合う。
「──そのメモのこと、他のみんなには内緒だよ」
「……夏樹くんとか楓さんにも?」
「孝也さんにも言ったらダメだよ」
「……わかったけど、なんで?」
「それに書いてあるおれの番号、特別だから」
──特別。
なんの変哲もない言葉。それなのに、たった四文字で私の胸を、いい方にも悪い方にもドキドキさせる。
「…………どういうこと?」