芦名くんの隠しごと

サインはいくらでも散らばっていて。


あの胸の高鳴り、行き場のないモヤモヤ、絶対に嫌われたくないという気持ち。


収まることを知らないような、ドキドキだって。


「……教えてくれないなら、」


「っ、」


急に色っぽさを宿した彼の瞳。


どうしようもないくらい、一瞬でその瞳に心が侵される。


「──野乃にヒドイことしちゃうかもよ？」


危なく囁くその声に、このままずっと囚われていたい……そんな錯覚をさせられてしまいそうな。


甘い熱を含んだような声は、今までどれだけの女の子を虜にしてきたのだろうか。


「反抗しないんだ？」


「……っ、」


できるわけない。


それに、芦名くんにならどんなことをされても許せてしまう、そんな気がするの。


そもそも……反抗したところで、芦名くんはそれを許してくれないんでしょ……？


「ナニされてもいーの？」


……いいよ、


と言いそうになるのを抑えて、私はだんまりを貫く。


「──相手が俺じゃなくても、抵抗すらしないの？」