芦名くんの隠しごと
「野乃はずっと俺の後ろにいるけど。人見知りなんだよ」
そう。
初対面の人と会うのなんて、ほぼ確実に人見知り発動してしまう。というか絶賛発動中。
芦名くんがいてくれてよかった。
最初から藍さんと二人きりだったら、倒れてしまっていたかもしれない。
「……はじめまして。藍だよ。怖くないから、顔見せてくれるかな?」
藍さんが、そう優しそうに声をかけてきてくれるから、私も勇気を出して芦名くんの後ろから顔を出す。
「……ごめんなさい、緊張してて……」
「かわいい……野乃ちゃん、抱き締めていい?」
「へっ?」
驚いて顔を上げると、返事をする間もなく、優しい匂いが私を包んで。
「……藍、離れろ」
「嫌に決まってんでしょ。こんな可愛い子、康生が独り占めするなんてもったいない!」
低い声で注意する芦名くんと、すぐさま言い返す藍さん。
「あ、あの……藍さん。私、藍さんの顔、ちゃんと見たいです」