芦名くんの隠しごと

芦名くんを見送って、今は藍ちゃんと二人きり。


「……さて、野乃。あ、野乃って呼んでいい？」


「う、うん！」


「康生をどうやってオトしたの？」


……ブリザード。


一気に雰囲気が変わって、冷たい目になった藍ちゃんの背景にはブリザードが見える。


怖くて、思わず逃げ出しそうになる。


藍ちゃんの方を見ていられない。


だけど、頼れる芦名くんはいない。


「お、オトした……って？」


「とぼけないで。康生と付き合ってるんでしょ」


「……付き合っては、ないよ」


恋人に見えたなら嬉しいけど、私と芦名くんは付き合ってない。


そもそも、まともに話したのだって昨日がはじめてなのに。


……そのことを考えたら、“人を好きになるのに時間なんて関係ない”と言っていた誰かの言葉に、全力で頷きたくなった。


「……へーえ」


「あ、の……藍ちゃん、私、藍ちゃんと仲良くしたい……から。怒ってる理由が知りたい、です」