芦名くんの隠しごと
心臓がドクンと鳴る。
もしそうだとしたら、危険なことをしてるんじゃないかって不安になる。
「──そうだよ」
少しもトーンを変えずに言う藍ちゃん。
不思議そうに私を見つめている。
「心配?」
「……うん」
「大丈夫だよ。あの人たち、強いから」
それは……そうなのかもしれないけど。
「今日はちょっと、この街で悪さしてる雑魚を片付けるだけだって言ってたから、早く帰ってくると思うよ」
「そ、そう……なの?」
「うん、大丈夫。あ、もし私たちと鉢合わせしても、私もこう見えて結構鍛えてるから。心配しなくて大丈夫だよ。野乃のことは、私が守るからね」
た、頼もしい。
言い切った藍ちゃんは、お人形さん並みにかわいいのに、とてもカッコよくて。
ひどく、憧れてしまう。
「だからね。私たちは、あそこでみんなを待ってよう。帰ってきたときに野乃がいたら、康生だって喜ぶよ、きっと」
「芦名くんが……?」