芦名くんの隠しごと
*
「お、藍に野乃ちゃん。来たね」
「こ、こんにちは……!」
「藍に頼まれてたお菓子、ちゃんとできてるよ。はい、ミルフィーユ」
……ミルフィーユ。
孝也さん、オシャレすぎないですか……!?
「やった。いただきまーす」
私が驚いているうちに、藍ちゃんはカウンター席に座って、手を合わせている。
もう、食べる気満々って感じ。
「野乃っ!なにボーッとしてるの!早く食べようよ!」
「あ、うん!」
藍ちゃんに声をかけられて、私も慌ててカウンター席に座る。
「えっと……いただきます」
「どうぞ召し上がれ。お好みでホイップクリーム追加もできるからね」
孝也さんにそう言われて、むせそうになってしまった。
女子力高過ぎないですか、孝也さん。
「孝也さん……なんでこんなことまでできるんですか?」
「え?」
「なんかこう……私よりお嫁さん気質だなあ、って」
普段こら家事をやっている私よりも、ずっとずっと家庭的というか。すごい。