芦名くんの隠しごと



*



「お、藍に野乃ちゃん。来たね」


「こ、こんにちは……!」


「藍に頼まれてたお菓子、ちゃんとできてるよ。はい、ミルフィーユ」


……ミルフィーユ。


孝也さん、オシャレすぎないですか……!?


「やった。いただきまーす」


私が驚いているうちに、藍ちゃんはカウンター席に座って、手を合わせている。


もう、食べる気満々って感じ。


「野乃っ!なにボーッとしてるの!早く食べようよ!」


「あ、うん!」


藍ちゃんに声をかけられて、私も慌ててカウンター席に座る。


「えっと……いただきます」


「どうぞ召し上がれ。お好みでホイップクリーム追加もできるからね」


孝也さんにそう言われて、むせそうになってしまった。


女子力高過ぎないですか、孝也さん。


「孝也さん……なんでこんなことまでできるんですか?」


「え?」


「なんかこう……私よりお嫁さん気質だなあ、って」


普段こら家事をやっている私よりも、ずっとずっと家庭的というか。すごい。


< 81 / 279 >

この作品をシェア

pagetop