芦名くんの隠しごと



*



ミルフィーユを食べ終わってからは、藍ちゃんと勉強したり、孝也さんも加わってトランプをしたりした。


そのうちに、芦名くんたちが帰ってきて。


私の気持ちが芦名くんにバレてしまわないか不安だったけど、藍ちゃんや孝也さんの言った通り、芦名くんにはバレてないみたいだった。


「ただいまー」


「おかえり、野乃」


「あっ、お母さんごめんね……!夕飯作ってなかった……!」


家に帰ると、今日は珍しくないお母さんの方が先に帰っていて。


まだ夕方なのに、本当に珍しい。


「いーの。野乃、なんか楽しそうな顔してるから、私も嬉しい。好きな人でもできたの?」


「っ、え?」


まったく何も知らないはずなのに、簡単に当ててしまうお母さん。


「あ、図星だ。さっき野乃のこと送ってきてくれてた子?カッコよかったね」


「み、見てたの……!?」


「見てたわよ。でも、なんか二人イイ感じだったし?それに、突然母親が出てきたら彼だって戸惑うでしょ」


< 84 / 279 >

この作品をシェア

pagetop