芦名くんの隠しごと



それはたしかにそうだ。


芦名くんは私みたいに人見知りではないと思うけど、クラスメイトの親に急に会ったら、彼だって困るだろう。


「……野乃、友達もできた?」


「う、うん!あのね、藍ちゃんって言う子なの!学校は違うけど、同い年!」


「あの野乃に友達ができたなんて……よかった」


あの野乃って、少し失礼な気もするけど。


でもそうだよね、お母さんには今まで心配かけてばっかりだったもん。


「心配してくれてありがとう、お母さん」


「んーん。でも、野乃には昔から寂しい思いばっかりさせちゃってたから。友達ができないって言ってたのも、そのせいなのかなって思ってたから」


「そ、それは……人見知りなだけ、です」


たしかに、昔から寂しかったのは本当だけど。


でも、私が今まで一人だったのは、自分のせい。


お母さんが気に病むことではない。


「そっか。本当によかったね」


「うん!……そういえばお母さん、今日はなんで早いの?」


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