芦名くんの隠しごと
「の、野乃ー!」
「……なーに、お母さん」
「野乃の友達、来てくれたよ!」
嬉しそうに言う反面、少し焦りが混じった声。
……誰が来たんだろう。
もしかして、藍ちゃんが来て、藍ちゃんがあまりにも美人だからびっくりしてるのかな。
「野乃!早く!」
「わかってる今行くからー!」
お母さんに急かされて、ソファーに沈めていた重い腰を上げる。
玄関に向かうと、明らかに興奮しているお母さんと、思いがけない人の姿。
「……なんで、」
──楓さんが、ここに。