芦名くんの隠しごと
私の心が忙しなく騒いでいたところで、教室に先生が入ってきた。
立ち話をしていた人も、それから芦名くんも、自然とみんなが席に向かう。
どこから出したのか、先生が無言で箱を置いた。
「席替えするから、クジ引いてけー」
朝のあいさつもなにもなしに、開口一番そう言った先生は、自分の席に座ってパソコンをひらいてしまった。
クラスの目立つタイプの人たちからクジを引いていっているのを見て、すごいなあ、なんて変なところで感心してしまった。
いつも、こういうときは最後から数えた方が早いような順番になる。
クラスの大半の人がクジを引いたであろうくらいに、やっと私は立ち上がった。