にゃん子と寺子屋日記
畑、卒業(22)
ねこがなくなってからというもの、何だか畑への執着がなくなって、「もうそろそろ売ってもいいかナー」という気になって、
とりあえず、片付けとかなきゃと、雨の合間をぬって、あらかた畑の片づけを続けた。
球根類は以前から掘り出して移植し続けていたので、残りは黄色のリコリスが南天林の中にあって掘り出せずにいたら、最近の長雨で、すっぽりと全部抜けて、球根が50個以上は出てきた。
団地の空き地に埋めさせてもらった。きっと忘れたころに花がさくだろう。

現状維持で売却しようかと考えている。
先祖の土地で、母が植えた梅や枇杷や夏みかんが今もたくさん成るが、自分も後期高齢者近くになると、収穫も大変だし、伐採も大変。
加えて、近所の邪気が多くて、なかなか落ち着けない。いつも監視されてるような感じ。
実際、となりの2階家の窓のレースのカーテンがいつも三角に折れていて、視線がふと、そちらにいってしまうことがある。

視線・・にはある種のエネルギーがあると思う。
ねこでも、気になって振り返ると、あれっ、いつの間に、と居たりする。
人間ならましてそうだろう。
なので、物好きな人が、柿や夏みかんの青い実がなったまま、苦瓜の実がついたまま、枇杷の花が咲いたまま(12月ごろにさく)に買ってくれないかなと。
今年は、庚の子年で、これから10年間の種まきの年と聞いた。
大方20年近く持ちこたえて、固定資産税も払って、面倒見てきて、
ねこが看板の畑カフェでは、隣に睨まれながら、みんなで笑って、お茶飲んで、いいひとときを過ごしてきたし、その時は、みんなで簡単なお別れ弁当会でもしようかと。
そんなことを考えている自分に驚きもするし、これはもう売却の流れだとあらためて気づいた。

子どもたちにも、もう十分愉しんだので、卒業したいと伝えた。

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