加瀬くんのカノジョはもうやめる。



球技大会はそのまま中止になり、
後味の悪い雰囲気がみんなの中で漂っていた。

足を引っ掛けた人は校長に呼ばれ、ガッツリ叱られていた。


病院へ行った加瀬くんは、余裕そうな顔をして帰ってきた。

「ただの捻挫だから安静にしろってさ」
「良かったような良くないような…」


でも腱が切れてるとか、
そこまでいかなくて良かった…

「でも、ありがとな芹奈」

「え?」

「俺の代わりに怒ってくれて」


私お礼言われるようなことしてないのに。
できることそれだけだったのに。

「加瀬くん…っ」

私の目からは涙が溢れていた。

「あれ、また俺泣かせてる」
「これは違う涙だからいいのっ」



加瀬くんの足が早く治りますように。



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