加瀬くんのカノジョはもうやめる。
長かった授業も終わり、放課後。
「芹奈、私帰るよー?」
「うん、しーちゃんバイバイ。」
はぁ。
毎日しーちゃんと帰りたいのに。
「芹奈ちゃん帰らないの?」
「あ、築島くん。うん、人待ってて。」
「あー…加瀬でしょ?」
「あ…うん。」
なんか気まずい雰囲気流れちゃった…
「芹奈。」
名前を呼ばれてドアの方を見ると、
加瀬くんが立っていた。
「あ…じゃあ、築島くんバイバイ!」
「うん、また明日。」
はぁー。
あわよくば、築島くんと帰りたかったなぁ。なんて。
「あいつ、築島蒼だろ。」
「うん、知ってるの?」
「…まぁ。」
え、何その濁す感じ。
何かあったのかな。
「ていうか、ボディーガードなんだから他の男と仲良くすんなよ。バレるだろ」
「いや、仮に彼女でも異性と話すくらい誰でもします〜」
「あっそ」
バレて困るのは私じゃないし…!
「それに、ボディーガード早くやめたいし、
加瀬くんより先に私が彼氏作ります!」
「は?」
加瀬くんはいきなり不機嫌な顔になり、
じっと私を見つめる。
「築島くん、優しいしいいなぁ。なんて、思ってるんだから!」
いち早く、加瀬くんのカノジョやめてやる!
「……んだよそれ…また築島かよ…」
そう呟いた加瀬くんの言葉は私に届かなかった。