加瀬くんのカノジョはもうやめる。
「質問に答えろよ」
どうしよう。
言わないと嘘ってばれちゃう。
落ち着け。
どうしたらいい…?
何も言えず黙り込んでいると
加瀬くんが掴んでいる腕とは逆の方の腕が横に引っ張られた。
「えっ…?」
気づけば私は誰かの腕の中。
「人の彼女に何してんの?加瀬…」
この声…
「…築島くん…?」
「芹奈ちゃんの声がしたから来てみれば。
何してんだよ」
「お前には関係ねぇだろ。
離せよ、俺と話ししてんだよ」
加瀬くんは私と話していた時よりも
低い声で築島くんにそう言った。
「芹奈ちゃんから聞いただろ。俺と付き合ってんだよ。だから加瀬との話はもう終わりだ」
「おい芹奈」
加瀬くんに名前を呼ばれたけど、
やめるって決めたんだ私は。
加瀬くんの側にいても私は幸せになれない。
だから私は、
加瀬くんを無視して築島くんの制服をギュッとした。
「…っ勝手にしろ!!!!」
加瀬くんはそう言って階段を降りていった。
加瀬くん…
これで良かったはずなのに、
なんで私は泣いてるんだろう…