加瀬くんのカノジョはもうやめる。



「…芹奈、座って?」

「うん…。」

お母さんは私の手を優しく握りながら、
私の隣に座った。


「あのね…芹奈は小学生の時、記憶喪失になってるの。」

「え…?」

記憶喪失…?

「話すべきなのか、ずっと迷ってたの。
話せば、芹奈は辛い思いをする。
でも話さなくても、いつかその時が来るって分かってたわ。」

お母さん何言ってるんだろう。
記憶喪失って…



「芹奈が聞きたいのは、
加瀬航大くんと築島蒼くんのことでしょう?」


ドクンっと胸が大きく鳴ったのが分かった。


「話してくれるの…?」

「ただ、深く考えずに聞いて。約束。」
「うん…」





私と加瀬くん、そして築島くんの秘密。








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