加瀬くんのカノジョはもうやめる。
「…ん…」
目を覚ますと
白い天井が見えた。
「芹奈!?」
お母さんが泣きながら私の顔を覗き込む。
「お母さん…」
「よかった…っ。よかった…!」
お母さんは強く私の手を握った。
「話すべきじゃなかったわ…っ。
ごめんね、芹奈…」
「ううん。思い出せたからいいの。
むしろ、思い出せてよかった。」
だって
このままだったら、
私の中の加瀬くんは意地悪で最低な人で終わっちゃうから。
そんなのだめ。
ちゃんと塗り替えなきゃ。
「話してくれてありがとう、お母さん」
私はそう言ってお母さんに微笑んだ。
「芹奈…」
お母さんはこれ以上泣き顔を見られまいと待合室へ行ってしまった。
私、加瀬くんに謝らないとな…
「芹奈…!!」
「芹奈ちゃん!」
ドタバタと音がして、
勢いよく2人が入ってきた。