加瀬くんのカノジョはもうやめる。
「…きてくれると思ってた。
加瀬くん、築島くん。」
私はそう微笑んだ。
「思い出しちゃったの…?」
築島くんは不安そうな顔をして私を見た。
「うん…お母さんのおかげで思い出せたよ。」
記憶喪失になって、
何か思い出そうとすると頭が痛くなるって、
本当だったんだなぁ。
なんて呑気なこと考えてたっけ。
「加瀬くん。」
私が加瀬くんを呼ぶと加瀬くんは少し肩をビクッとさせて私を見た。
「加瀬くん、ごめんね…私のせいで。
守ってくれたのに忘れちゃってごめんなさい。
加瀬くんのこと、全然分かってなくてごめん…」
「芹奈…」
2年生になって、
偽のカノジョになって。
側にいたのに、どうして気づかなかったんだろう。
守ってくれた人が隣にいたのに。
「築島くん。ずっと私の側にいて見守ってくれてありがとう。その優しさに甘えちゃってごめんね。」
「俺にできることをしただけだよ。」
2人のこと、ちゃんと思い出せてよかった。
ちゃんと2人と向き合わなきゃ。
今度は私の番だ。