加瀬くんのカノジョはもうやめる。
「…ファーストキス奪ってごめん。」
「…っ」
今更ながら恥ずかしくなった私。
「あの…私を偽彼女にしたのも偶然じゃないの??」
「あぁ。それも含めて全部話す。」
私と加瀬くんは、
屋上にあるベンチに並んで座った。
「俺、お前をボディーガードにするって言った時、芹奈だって気づいてたんだ。」
「え…」
「芹奈が覗いてるのも気づいてた。
だから、俺はそれを利用した。」
「利用?」
どういうこと…?
「俺が怪我して入院した時、俺はお前の側にいてやれなかった。」
小学校の時の話だよね。
確かにその時は築島くんが側にいてくれた。
「だから芹奈が俺のこと忘れてるって知ってたけど、どんな手を使っても今度は俺が芹奈の側に居たかった。」
「加瀬くん…」
怪我をさせちゃったのは私なのに…
それでも側にいようとしてくれてたってこと…?
「でも私のせいで怪我…」
「俺はそう思ってない。誰もそう思ってねぇよ」
そう言って加瀬くんは私の頭を軽く撫でた。