加瀬くんのカノジョはもうやめる。
「…熱出した時、ダメだって頭では分かってても止められなかった。綺麗になった芹奈をどうしても俺の彼女にしたかった。」
「それって…」
告白に聞こえるよ…?
私バカだから勝手にそう思っちゃうよ…?
「だけど上手くいかなくて、芹奈を傷つけた。」
「その日…芹奈が記憶戻すかもしれないって築島から電話がきた。芹奈の母さんからも倒れたって電話きて、心配で気づいたら芹奈のとこに向かってた。」
「加瀬くん…」
築島くん電話かけてたんだ…。
加瀬くんは切ない顔をしながら私を見た。
「築島と付き合ってんのか?」
「え…」
あ…そうだあの時…
私が加瀬くんのカノジョやめるって言った時、
築島くんが彼氏みたいなことになっちゃったんだっけ…
「ううん…付き合ってないよ。」
「でも、告られたんだろ?」
「え!何で知ってるの!?」
見てたら分かるよと加瀬くんは笑った。
「…俺も…」
「え?」
「…俺も芹奈のこと想ってるってこと覚えててほしい。」
そう言って加瀬くんは私を優しく抱きしめた。
「か、加瀬くん…?」
「好きだ…芹奈」
その声はとても優しくて。
なに…これ…
築島くんの時と同じドキドキ感。
「芹奈が築島を選ぶなら、
それが芹奈の幸せだから俺は身を引く。
でもそれまでは、俺にもチャンスくれないか」
加瀬くんはゆっくりと私を離し、見つめた。
上手く言葉が出なくて、
私は頷いた。
「…さんきゅ。」
加瀬くんはそのまま立ち上がり、
戻るぞと言って屋上を後にした。