加瀬くんのカノジョはもうやめる。
「あの、なんだか押せなくてですね…」
「変なやつ。てか、浴衣着てきたんだ」
早速突っ込まれた…。
何張り切ってんだよとか言われちゃうかな。
そもそも本当に似合ってるのかな。
あー、ダメだ考え出したらきりがない。
「…芹奈」
「や、変なのわかってるから言わないで」
「いや、そうじゃねぇから。
…すげー似合ってる」
優しい眼差しで見つめてくる加瀬くん。
ドキンっ。
ちょっと、ダメだってドキドキしたら!!
これからなんだよ?!
まだ家の前だって。
「あ、ありがとう」
私は赤くなってる顔を隠しながらお礼を言った。
「行くか」
加瀬くんは何もなかったかのように歩き始めた。
私もその平常心、すごく欲しいです。