加瀬くんのカノジョはもうやめる。
「わぁ、結構混んでるね」
会場の中に入ると人がたくさんで、
気緩んだら埋もれそう。
「まぁ、一大イベントだからな」
こんなに人いたら二酸化炭素やばそう…
とか考えてる私、バカだよね。
「わっ!」
小さな石に躓きコケそうになる。
ここで転んだら恥ずかしすぎる!
_____ギュッ。
転びそうになった私の手を、
加瀬くんは優しく、でもしっかりと握った。
「えっ…加瀬くん…手…」
「転び防止と、はぐれないようにするためだけだから。いいだろ」
どうしよう。
ドキドキ伝わってないかな。
付き合ってるわけじゃないのにこんな…
周りからしたら私たちカップルに見えてるのかな。
「…加瀬くん…」
どうしよう私。
_____気づき始めてる、私の気持ちに。