加瀬くんのカノジョはもうやめる。



小学校の時よりもたくましくなった加瀬くんの背中を私は見つめることしかできなかった。








繋がれた手を私は、
軽く握り返した。


「…っ芹奈?」

「え、あ…ご、ごめん。」

私何してるんだろう。

「ここあまり人いないからもう大丈夫だね!」


私はなんとか手を離す口実が欲しくて、
そう言って手を離した。




このまま繋いでたら私…




ドーーーンっ!!


音がして空を見ると、
大きい花火が打ち上がっていた。


「わあ!!始まったよ!加瀬くん!」

「あぁ…」

加瀬くんは少し照れた顔をしてた。
…?どうしたんだろう。


「綺麗だね…」


花火なんて久々に見たなぁ。

こんなに綺麗だったっけ。



「俺、花火なんて興味なかったけど、悪くないな」

「え?」

加瀬くんは私の方を向き、

「芹奈と見てるからだな」


そう言った。




それって…



私と見てるから、
興味ない花火も悪くないってことだよね…?



「…ダメだよ加瀬くん。」

「何が?」

「…そんなこと言われたら私…」



『芹奈ちゃん!』


その言葉の続きは言えなかった。





何でだろう。


築島くんを思い出した。




「…芹奈?」

「ううん、なんでもない!忘れて!」



それから花火は全く集中できなかった。









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