加瀬くんのカノジョはもうやめる。
「いや、そもそも貴方と初めて会ったし、
好きでもないのに彼女になんかなれるわけない。」
「…初めて会ったか…
…じゃあ、覗き見なんてタチ悪いことした責任はどう取るわけ?」
うっ…
痛いとこ突かれた。
「殴り合いとかになってないかなって様子を見にきただけです〜。」
「で、どうすんの?」
この人話聞いてない!!!!
少し口角を上げながらジリジリと歩み寄ってくる彼。
私の背中が、トンッと壁に当たった。
終わった……。
「…分かった。」
「よし、契約成立だな。」
「いつまでボディーガードすんのよ。」
「んー、俺に本当の彼女ができたら?」
絶対この人の方がタチ悪いと思う…!
気づけば立ち去っていた彼。
い、言い逃げされた…?
そうして、
私の(仮)カノジョ生活が始まったのだった。