海賊と宝石の歌姫
ハナダについて書かれた分厚い本を読みながら、セダが苦笑する。

「だって、何も起きなくて暇だしさ〜」

ゴドフリーが言うと、ライリーも頷く。

「海賊が襲ってくることもないし、剣の腕も鈍りそうで怖い」

ライリーの腰には剣が常に差されている。いつでも戦えるようにしているのだ。

「剣の稽古なら俺も付き合うぞ?」

セダと同じく、本を手にしながらアイザックが言う。刹那、ライリーの目が輝いた。

「本当!?なら早速お願い!!」

ライリーは椅子から立ち上がり、アイザックの手を掴む。

「ライリー、チェスまだ途中だぜ?」

ゴドフリーがそう言うが、ライリーはアイザックの手を掴んだまま、「ごめん!剣の稽古をする」と笑顔で返す。

ゴドフリーは、捨てられた子犬のような目でセダを見つめる。セダは気付かないフリをしていたが、ゴドフリーはセダに近づきじっとセダを見つめ続ける。

「セダ〜……」

セダは大きくため息をつき、本を机の上に置く。地図や様々な本が整理されている。
< 10 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop